認知症の種類と症状
認知症にはいくつかの種類があり、原因や症状が異なります。
概要 | 症状 |
アルツハイマー型認知症 | |
全認知症の半分以上をしめる代表的な疾患です。 今日治療薬として4種類の薬剤が流通しており、根本治療薬の開発にも目覚ましいものがあります。 遠からず治療成績が大きく改善することが期待されています。 | 症状は徐々に進行します。 【軽度】記憶障害だけを認めます。とくに軽度認知障害(MCI)とは、認知症とは言えないものの知的に健常とも言えない移行状態を意味します。生活面では、「言いたい言葉が出てこない」、「やる気がない」、あるいは慎重さや注意不足が現れます。 【中等度】記憶障害は明らかになり、他人の言う事を理解するのが難しくなります。またこの時期を特徴付けるのはいわゆる行動異常・精神症状で、妄想、焦燥、不穏、うつなどの症状がみられます。 【重度】運動機能にも支障をきたし、失禁が現れます。衰弱が進むのに伴って様々な病気に罹りやすくなります。 |
脳血管性認知症 | |
脳の血管障害、脳梗塞や脳出血によって起こる認知症です。①認知症状態がみられ、その背景に②脳血管疾患があって、③その認知症状態と脳血管疾患発症との間に時間的関連性が認められるものを言います。 治療法は、この病気の背景にありがちな高血圧、糖尿病、あるいは高脂血症などの治療をきちんと行うことにあります。 | 脳梗塞や脳出血などが起こって細胞が壊れてしまった場所では、機能が低下してしまいます。 感情がコントロール出来なくなる感情失禁、めまい、しびれ、言語障害、麻痺などが症状として現れますが、発現にはムラがあります。 |
レビー小体型認知症 | |
脳内の神経細胞内に「レビー小体」という異常な蛋白がたまり、脳の神経細胞が徐々に減っていく進行性の病気です。 アルツハイマーやパーキンソン病に似ている症状が現れますが、決定的に違うところは病気の初期から「幻視」が多くみられることです。 治療薬はアルツハイマー病に準じて用いられます。 | 初期にはむしろ記憶障害よりも注意障害が目立ちがちです。 経過と共に幻視や錯乱状態を呈したり、方向感覚の悪さもみられたりします。 日中の眠気と寝ぼけや寝語などの睡眠異常がひどいこともあります。 また歩行障害と動作緩慢があり、姿勢障害や失神も多いものです。 |
前頭葉側頭葉変性症 | |
前頭側頭葉変性症は、脳の前頭葉や側頭葉の委縮がみられる精神疾患です。 もの 忘 れよりも性格変化やコミュニケーション 障害、行動障害が目立つのが特徴です。 | この病気の初期には特徴的な人格変化、情動面の変化、病識の欠如や判断力の低下がみられます。 人格変化の特徴は、ゴーイングマイウエイと称される無遠慮な振る舞い、行動の制御困難ですが記憶については比較的保たれます。 もう少し進行すると失語が目立ってきます。定刻に同じ場所を回り歩く「周徊」も特徴的です。さらに身体機能の低下が明らかになり、コミュニケーション能力を失って重度の認知症状態になります。 |